第5回:DX推進のための必要スキルとは?

今まで「人材育成」と「IoTInternet of Things)に関連する技術」についてお話してきましたが、それでは、DX推進のための必要スキルは何なのか?について考えたいと思います。

 

一部、以前のコラム「DXのための人材育成とは?」と共通する部分がありますが、DX推進に必要となるスキルは、下記の観点から捉える必要があります。

    今まで経験が無い新たな価値を作り出す必要があるため、プロセス思考では限界がある

(プロセス思考は決められた手順での業務の推進であり、品質を確保するためには重要である)

    専門分野をもった担当者たちを統合させ、その上で価値を生み出す戦いになる

   (技術/作業/製品/サービスなど、それぞれ単独では価値が出せない)

  ③上記の領域で戦うためには、下記の人材が必要

    ・それぞれの専門分野の担当者を纏める人材

    ・専門分野の担当者(スペシャリスト)を統合した全体最適が可能になるための幅広い知見(ジェネラリスト)を持ち、また自らデータの分析が実施できるデータエンジニア

  ④個々の担当者の強さがベース(戦略が決まった後は、トップダウンや担当者の合議で進めるのではなく、それぞれの役割の中で全体最適な判断を即能動的に(自ら)できる担当者が必要。変化の激しいDX時代では、トップダウンや合議では限界がある。)

  ⑤技術、機能、性能、利用価値、制度、運用、セキュリティ、システム、安全、マネジメント、時間軸、ガバナンス、ビジネス、ポリシー、社会、戦略の全体をアーキテクトできることが重要 (極端な言い方をすると、個々に問題があっても全体で目的が達成できれば良い。この考えが全体最適) 

注)アーキテクトの意味については後述します。

つまり、DX時代では、人材が評価されるポイントも変化します。従来は、決められた枠の中のオペレーションできることが重要でした。

このようにDX時代では考え方が従来と異なるため、当然のごとく求められるスキルも変化します。下記のスキルを企業全体、産業全体、社会全体のスコープで発揮できることが重要になります。

(1)業務の分析技術(全体最適を考え、つながることによる価値を最大化する)

(2)問題の把握能力(表面的な問題のみでは無く、あるべき姿を想定した上での課題を把握する必要性)

(3)統計学や機械学習のスキル

(4)IT全般の能力

(5)新たな知見を発見できる能力(暗黙的なノウハウを組織共通の知見に結びつける)

(6)結果をわかりやすく説明できるスキル(含む説得力)

(7)プロジェクトマネジメントスキル

 

さらにDXの推進リーダーに求められるものとして、下記のパーソナルスキルがあります。

a)戦略策定スキル:先ほど話した全体をアーキテクトできるというのも広い意味でのこの戦略に相当します。

b)リーダーシップ(巻き込み力):複数部門の担当者を巻き込み、DXの必要性を理解させ、部門の垣根を越えて、同じ方向へ引っ張る能力

c)リスクマネジメント力:AI(人工知能)はリスクの塊でもあり、DXを推進する際も、この変化がはげしい環境の中でリスクをアセスメントし、マネジメントする能力

d)問題解決力:DXでは問題は多数発生し、単独の問題の方が少なく、どのように解決するかの判断が重要です。

実は、これらはDX推進においてはリーダーのみに必要なスキルではありません。上記はDX推進のリーダーにおいては高度なレベルが求められますが、DXに関連する担当者も少なからず上記のスキルは必要になります。

 

特にDXに求められるスキルとして強調したいのは、要件定義(要求仕様定義)を実施するスキルです。要件定義(要求仕様定義)とは、設計(どのように:How)の前段階で何が必要か(What)を具体化することです。私は、従来からITシステムやスマート工場の要件(要求仕様)定義は、ユーザ部門や業務部門が実施すべきと話してきました(そのための研修も実施しています)。DXの要件(要求仕様)定義は言い方を変えると、先ほど記載したものごとをアーキテクトすることです。アーキテクトを設計と捉える人もいますが、必要なことを要件定義で具体化することがアーキテクトそのものとして捉えることで、DX推進のための必要スキルが見えてきます。つまり、技術、機能、性能、利用価値、制度、運用、セキュリティ、システム、安全、マネジメント、時間軸、ガバナンス、ビジネス、ポリシー、社会、戦略の全体をアーキテクトできることが重要なのです。このための要件定義(要求仕様定義)の作成方法は、専門的に学ぶ必要があるでしょう。

 

それでは、これらのスキルは、どのように習得することができるのでしょうか?これは各組織が苦労している点ですが、コンサルティングでは下記の融合により達成してくださいとお話しします。ほとんどの担当者はどちらかの経験や思考になっており、どちらに偏っているかを確認し、その反対の経験をさせることで、多面的なスキルが身に付きます。

・「スペシャリスト」と「ジェネラリスト」

・「組織の縦(部門)」と「横(プロジェクト)」

・「トップダウン」と「ボトムアップ」

・「担当者の集合体としての組織」と「組織の一部である担当者」

・「老舗企業の理念」と「ベンチャー企業の改革」

・「理論(研修)」と「実践(OJT)」

・「攻めによる失敗」と「守りによる成功」

・「ブレーンストーミング」と「問題発見」

私が企画した研修は全て、上記の観点で事例演習や検討演習が構成されています。一般的に研修では限界があると言われている上記の(a)~(d)のスキル習得を、「事例企業の問題を自ら考え、自社に当てはめて改革を検討し、検討結果を自社に持ち帰り、実践的に推進できるようにする」ことで可能にしています。

 

 極端な言い方をしますが、今後DXを実施するためには、全ての産業はIT産業/デジタル産業になり、全ての企業はIT企業/デジタル企業であるというくらいの認識で今後の必要なスキルを捉えてください。将来的には、この考えが当たり前になり、IT産業/デジタル産業という括りが無くなっていくと思います。

 

第6回のDXコラムは、こちら

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